埼玉県最高峰を目指したはずが秩父往還で雁坂峠越えをしただけになった。

日程

 2025年9月25日(木)-26日(金)

 

行程

1日目
8:41川又バス停
11:21突出峠
11:56樺小屋
12:51だるま坂
13:14地蔵岩展望台
14:40雁坂小屋

2日目
5:53雁坂小屋
6:13雁坂峠
6:59雁坂嶺
7:39雁坂峠
9:47沓切沢橋
10:56道の駅みとみ

感想

昨年から温めていた埼玉県最高峰にチャレンジしようとタイミングを探っていた。気温がなかなか下がらずいくつか作った休日が無駄になった。予報を見ていたらやっと9月後半になって予想気温が低めになった。天気も良くなったので行くことを決定。
埼玉県で小学生時代を過ごした身としては埼玉県最高峰は甲武信岳と習った気がするんだけど、今はその隣の三宝山が最高峰だそうだ(日本の主な山岳標高(1003山) 都道府県別最高地点の一覧,国土地理院,https://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa41139.html,2025年4月1日現在)。調べてみると県境が変更になって三宝山が最高峰になったと書いてあるサイトがあった。確かに今昔地図を見ると県境が変わっているのでそういう事情なのかな。

時間に余裕があるけど、始発で最寄駅を出て三峰口駅に7:37着。西武秩父線には山登りと思われる人が何人かいたけど、御花畑駅で秩父鉄道に乗り換えた人はいなかった。
7:55発川又行きのバスに乗る。その前に出発する秩父市営バスがあってその運転手さんに「川又ならこっちも行くよ」と声をかけてもらったけどなんとなく普通の路線バスの方に乗せてもらった。乗客一人。申し訳ないです。
久しぶりだけど、そんなに変わってない三峰口駅。小学生が登校で一緒の電車に乗ってきた。鉄道車両公園がなくなった代わりにSL転車台公園として転車台の周辺を整備したみたい。看板しか見てないけど。

国道140号は大滝あたりで落石のため通行止めになっているという事を1週間前に知って慌てて調べたら、建設中の大滝トンネルを暫定的に使用して行き来ができバスも迂回運行していると知って安堵した。安堵どころかバスで建設中のトンネル通れるのは面白いとワクワクしていた。とは言っても未舗装、センターラインがパイロンというトンネルなだけだった。砂利道も綺麗に整地してあるので、揺れがとんでもなく大きいわけでもなくちょっと拍子抜け。
トンネルに入ります!

トンネルの中。路面標識がないのはちょっと走りにくいかも。道路幅があるからそうでもないかな。水平がズレてる写真が気持ち悪い。

通行止めは昔あったロープウェイの麓駅のあたりらしく、道の駅大滝温泉へは秩父方面から行けない。トンネルは道の駅大滝温泉より二瀬ダム方向に出てしまうので、川又行きバスは一度旧道140号を秩父方面に戻り道の駅大滝温泉のバス停を経由する。トンネルは未舗装でスピードが出せないと言っても、ショートカットしているので大滝温泉遊湯館バス停で5、6分時間調整した。乗り降りないまま10分ぐらいで小双里バス停。小双里はダム下なのに、次が終点の川又と案内され、川又バス停から登山口までは事前に調べたより一般道を歩くのかと不安になった。が、そこから20分ぐらい走って終点川又バス停。比較的新しいダムの脇で人家もなくバス停を作る必要もないんだろう。なにしろ全線自由乗降区間だし。下調べ通りの場所だった。橋の補修工事をやっていて作業している人がいたのでバスが折り返して行った後もいきなり寂しい場所にならなかった。
トイレはあるけど他は何もない終点川又。少し峠方向へ行くと数戸の集落があり、雁坂小屋のオーナーの店もそこにある。

バス停から20分ほど歩いて登山口。道路の温度表示は20℃だけどそれ以上に暑く感じる。山登り開始。
登山口。熊に注意の看板は気になったけど、今回は熊鈴も用意したし気をつけて行くしかない。

結構しんどい登りがずっと続く。手元の温度計は22,3℃あたりを指して汗は吹き出る。地形の関係か風がほとんど吹いてこないのも厳しい。歩いて心拍が上がったら休むと言った感じでだんだんペースが落ちていく。標高で半分ぐらいの1300mぐらいで軽食を食べる。汗を拭いている手拭いが絞れる。突出峠手前で尾根の南斜面から尾根に登山道が出る。傾斜は厳しいけどなんとなく風が通って気持ちいい。突出峠から樺避難小屋までは少し傾斜も緩やかになり少しホッとしながら避難小屋到着。ここで昼食。気温が上がったからか小蝿?なんかの虫がまとわりつき、立ってうろちょろしながら食事。風がほとんどないので虫もまとわり続ける。樺避難小屋はとても綺麗で土間と板張りの1間。薪もあって住めます。この中で食事すれば虫にも悩まされずにすみそうだったけど、汚したくないので外で食事。
綺麗だし、薪もありすぐ住めそう。

本当小綺麗。水場も近いらしいので(確認してないが)生活しやすそう。

歩き出して心拍が早いなと時計を見たら心拍150を超えてて息を整えてまた歩くといった感じになっていた。大体標高1500m超えたあたりからそんな感じ。いやーしんどいとなってだるま坂の看板。ここが最後の登りという一言に救われる。ここまできたらいつのまにか虫たちもいなくなっていた。
ひたすら上がってきてこの看板には救われる。下の付け足しの看板が歴史を感じる。

少し登って地蔵岩の看板。そう言われてしまっては登らないとと思った。天気はそれほど良くないのでどうかなと思いながら向かう。倒木があったりなんとなく荒れていて、標高の高い方に登りやすそうなところを選んで歩く。
こう書かれたら見に行かないわけにはいかない。それほど天気は良くないけど。

岩が見えてきて、岩を登った瞬間「おぉ」と声が出てしまった。今日のルートは全く眺望がなかったので、今日初めての眺望。天気があまり良くなかったけどなんか達成感があった。この時はまだ行くつもりの破風山、甲武信岳、三宝山が見えていた。
地蔵岩から北西方向。思ったより遠くまで見えて気持ちの良い眺望。

破風山から甲武信岳、三宝山までよく見える。明日行けるかな?とまだ行く気だった。

岩はこんな感じに見える。この岩までの道ははっきりないけど、高い方に行けばこの岩が見える。

岩からの下は、通りやすいところを通って行ったら看板より少し下に出た。改めて見たら登りやすそうなところがあった。ここから看板通り小さな登り下りを繰り返しながら道が続いていく。尾根の斜面の巻道なので幅が狭く傾斜があったり谷川が切れていたりするので、雪が積もったり凍結していたら歩きにくそう。滑落事故も起きているみたい。
昇竜の滝に到着。ここの前後に道が崩れて迂回路をつけてくれているところがあった。小屋で水が出てなかったら困るので昇竜の滝で水をくんだ。冷たい冷たい。容器を水中に入れていっぱいになるまで待ってられない。
昇竜の滝。雁坂小屋の水源だそうだ。上に写っている枡で水を溜めホースで10mの高低差を利用して引いているそうだ。

ここから1kmで雁坂小屋。それなりにくたびれた。良い感じの小屋で、小屋番さんはいなかった。先客が1人。甲武信岳方面から来たけど疲れたから昼過ぎから小屋にいるのだそう。そういえば今日の行程では一人もすれ違わなかったし、追い抜かれなかった。
今日はテント泊にしようと思ってきた。だけど小屋番がいない時には土間の小上がりで泊まる場合は2000円だそうで、テント泊1500円と500円の値段差。設営撤収の手間考えて小屋の中に泊めさせてもらいました。畳が5畳敷いてあって気持ちがいい。
いい感じです。小屋番さんは不在でした。

とりあえずご飯。タンパク質を100g以上取るように食事を組み立てたけど、タンパク質補強食品を使わないと難しかった。いわしのレトルトは美味しいし、タンパク質も多いし優秀。
タンパク質を多く摂ると次の日のコンディションが良くなるという事だったので、なるべくタンパク質を多めに食事を組み立てた。だけど、朝と昼も合わせて1日100gとろうとしたらかなり大変だった。いわしは優秀。かなり美味しかったし。

小屋についたぐらいから、大変疲れて感じがあった。明日予定通り行けるか不安になってきた。調子良けれ十文字まで行こうかと思ってたけど、三宝山から甲武信岳に戻って千曲川源流遊歩道を下りれば行けるかなとか考える。まあ行けるかと思ったり、ダメかもと思ったり。ダメならそのまま広瀬に下りるかなとまで考えたり。明日起きてから考えることにした。
もう一人小屋に到着。小屋泊にもひかれるけど、テント泊したくてきたのでテントで泊まるということで受付してテント場へ。
日がかげったくらいでシュラフに潜り込んでうとうと。19時ぐらいには就寝。だけど1−2時間ごとに目が覚めてしまった。寒いからか暑いからかそれともお腹が空いているからかお腹いっぱいすぎるのか。色々考えているつもりだけどそのうち眠って、また起きるを繰り返す。そうこうしているうちに起床予定の4:30になった。同宿の方を起こさないように荷物を持って外に出て朝食を準備しようとしたら、同宿の方も起きてきた。起こしてしまったかもしれない。申し訳ないです。朝食を食べている時にスマホを見たらバイタル異常の通知が来ていた。
こういったバイタル異常の通知は初めてなのでびっくりした。

帰って調べたらSpO2は標高2000mでこのぐらいかなという値らしいので良いのだけれども(一晩経っても下がっているので順応ができてないのかもしれないかもしれなく、それは問題なのかもしれないけど)、心拍は寝ている時にしては高いと思う。心拍が高いことで眠りが浅く、何度も目が覚めたのかもしれない。でも睡眠アプリだと目が覚めている回数は多いけど、深い眠りの時間も多く問題ないとなっていた。とりあえず高山病の症状は全くなく食欲も旺盛で準備をして6:00前に出発。同宿の方は雁峠までいって下山予定で、テント泊の人もそうするということだった。
もう6:00では明るく、歩いている最中に朝日が登山道に差し込んできた。およそ20分で雁坂峠に到着。富士山も綺麗に見えて登山日和。だけどなんか調子が出てこない。足が重いとかそう言ったことはないんだけど、なんだか調子が出ないという感じ。三大峠の一つらしいけど、そ三大峠は何がそう呼ばれているのかわからない。甲州と武州の交通の要衝であったというのはわかるし、難所でもあったと思うのでそういうことかな。
雁坂峠からは富士山がよく見えた。靄っているけども山梨方面の街も見えた。天気はいいんだけど、なんか調子が・・・

とりあえず雁坂嶺までいってみようと登りはじめたけどなんだか調子が出ない。天気もいいし昨日と違って木々の間から雄大な景色は見えて気持ちがいいんだけど。登って緩やかになって登ってと繰り返し、まだ登りがあるのかと嫌になった頃に雁坂嶺頂上到着。
雁坂嶺頂上。雁坂三角点と。

ここでこれから行く予定の破風山、甲武信岳、三宝山がよく見える。近く感じるし行こうという気持ちと、行程が長いからやめた方がいいかもとしばし悩み半々な気持ちになる。もう気分が半々だったら行ったらまずいと割り切ってやめる事にした。秩父往還を(多分)初めて歩けるのでそれでよしとしよう。ということで登ってきた道を戻る。
雁坂峠からの道は、途中の渡河ポイントが下だとわかりにくいというだけで、難所はないという事なので気楽に降り始める。昼前にはついちゃいそうだし、バスは本数あまりないみたいだし。
雁坂峠から下り始めてすぐは笹原の中をいく気持ちいい道。でも、なんかクマが怖くて笛を吹いたりぶつぶついったりして歩く。しばらく行くと傾斜が穏やかになりブナなどの原生林の中をいく。気持ちいい。無理を全然していないので下でも足がキツくなく淡々と下る。甲武信岳行けたかな?とちょっと後悔。早く降りたらゆっくり帰ればいいやとか思いながら歩く。沢音が近くなり沢を渡河。ここで登ってきた人とすれ違う。もう少し歩くと頭上にルートは渡河と書いてある看板がある。河原に降りられるところで本流(峠沢?)を渡ろうとするが、確かに対岸の道がわかりにくい。だいたい見当をつけて見ていくと、対岸にも先ほどの渡河ポイントを示す看板があった。対岸の道があることで安心して渡河ポイントを探す。苔がうっすら生えている大きな石で「滑るよな」と思って乗ったら案の定滑って勢いよく尻餅。言い訳すると靴底がフェルトのウェーダーを履いていたことが多かったので感覚がずれている。フェルトの威力は偉大だ。
ここが一番大変そうな渡河ポイント。この中心あたりで私は渡った。幅が狭くて対岸が浅かったのでちょっとのジャンプで渡れた。

少し下ると流れは早いけど幅が狭まったところがあり、対岸の石は小石でジャンプすれば靴底を濡らすぐらいの場所があった。ここで渡った。この後は淡々と下る感じで沓切沢橋に出る。何ヶ所かとか場所があるけども難しいところはなかった。出水時は様子が変わるのだろうが。下でわかりにくいところは本流(峠沢?)ぐらいだった。
沓切沢橋は舗装された林道。結構崖からの落石が路面に散乱しているので落石に注意しながら歩くところも多い。車の音が響き出して雁坂トンネルの山梨側出口が見えた。
雁坂トンネル山梨側料金所。

このぐらいまできたところでネットが繋がるようになった。道の駅がどんなところか見てみたらキャンプ場はあるけどシャワーや入浴施設はなかった。11:23のバスに乗れそうなので、間に合うように少しペースを上げた。何せ次は15:11なのでちょっと道の駅みとみで4時間は過ごせそうになかったので。無事道の駅到着。
道の駅みとみ。普通の道の駅かな。キャンプ場併設でドッグランもあるみたい。

時間がまだあったので、お土産を買ってトイレ行って一回りしてみた。山梨市民バスのバス停は1ヶ所のみで下りも上りも同じバス停を使うそうだ。

山梨市民バスに乗り、花かげの湯まで行って風呂でさっぱりした。最初は笛吹の湯が近くていいなと思ったけどボイラー故障で休業中との情報を見て変更した。だけど帰ってきてサイトを見たら9月頭から入れるようになっていた。それならそっちに入ってくればよかったかなと思ったけど、次のバスは道の駅と同じで4時間後だった。花かげの湯だと山梨交通の塩山行きのバス停が少し離れたところにあって2時間後でまあちょうどだった。花かげの湯はうっすらと硫黄の匂いがして気持ちのいいお湯だった。露天はぬるめになっていた。サウナと水風呂に入り、露天でウダーとして気持ちのいい時間を過ごした。口コミなんかで評判の良かった隣にあった食堂はやめてしまっていて残念だったけど。

山梨交通に乗り塩山駅まで出た。梓山から信濃川上に出るつもりで切符を用意していたので、乗車区間変更をできればしたかった。みどりの窓口はなく、指定席券売機のみしかなかったので挑戦したけどダメだった。JREバンクの特典の割引で買ってあったのでダメなようだった。乗車券は区間内なのでそのまま使っても良かったけど、一応駅員さんに聞いてみた。そうしたら一度払い戻して購入し直しという形で出来そうだけど、特典割引の権利がどうなるかわからないという事だった。通常料金の乗車券でも払い戻した方が安くなるので了解して払い戻してもらった。どうやるのかと思ったら指定席券売機で駅員さんモードみたいなものがあるみたいで券売機で無手数料払い戻ししてもらった。結局、特典割引の権利はすぐ戻ってきたので割引で購入できたので特急に乗って帰ってきた。快適だった。ご飯を食べる時間がなくて山の中での昼ごはんのつもりで残しておいたライトミールをコーヒーで流し込む寂しい昼ごはんになっちゃったけど。

2日目はほぼ下りてきただけになっちゃったけど、秩父往還の雁坂峠越えを歩いたと思えば満足感もあるし、楽しかった。雁坂嶺に登ってピークハントも一応できたし。埼玉最高峰には行けなかったからそれはリベンジしようと思う。日帰りで登るよりもテン泊しながらゆっくり歩いたら楽しそうなコースだなと今は漠然と考えている。


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